このノートブックは、Drive の 練習用画像/ を読み込み、学習済みモデルを転移学習して、混同行列を表示します。上から順に ▶ を押してください。
ヒルシュスプルング病の根治術で、術中迅速病理のHE染色凍結切片から神経節細胞を検出・カウントし、密度や分布を定量化して断端スコアを出す。
SOURCE: ヒルシュAI.pptx(研究相談スライド)スライド全体(WSI)を扱う仕組みが必要
術中凍結切片という、通常の標本とは別の難しさがある
「正解」を専門家が一枚一枚つける、ラベル付けの工数が大きい
相応の計算資源が要る
倫理審査を通す必要がある
毎回、あびこさんが「こういうものが欲しい」とAIエージェント(Claude Code)に言葉で伝え、エージェントがコードを書き、あびこさんが動きを見て判断します。コードを手で書く場面はありません。これは「専門家に依頼する練習」そのものです。
一言でいうと、Google が無料で貸してくれる「ブラウザの中の実験用パソコン」です。自分のパソコンには何も入れず、Google アカウントでページを開くだけで、機械学習のコードを動かせます。
自分の医局に高価な機器を置かなくても、予約なしで使える共用ラボ。使い終わったら片付けられるので、自分のパソコンは汚れません。
文章のマス、コードのマス、結果(表・グラフ・画像)のマスが上から順に並びます。カルテの「所見 → オーダー → 結果」に近い並びです。
GPU は「学習を何十倍も速くする計算機」。無料枠でも借りられます。Google Drive に置いた画像フォルダをそのまま読み込めます。結果はその場で表示されます。
無料枠は連続使用に上限があり、混んでいると GPU が借りられないこともあります。しばらく放置すると作業中のものは消えるので、結果は Drive に保存します。患者の実データは絶対に置きません(公開・匿名の練習用データだけを使います)。
第1回の「いちごの種カウンター」「神経節細胞チェッカー」は、実は3つのうちの1つでした。論文に出てくるAIは別の種類です。
Driveの「Hirschsprung病 AI-文献」フォルダの PDF 9本を読みました。まず手法の内訳、次に1本ずつ。各カードの右上に「Colab で再現できる度合い」を付けています(詳しくは次の節)。
※ 1本で複数の手法を使う論文があるため、合計は9を超えます。
凍結切片の全スライドを小片に分け、神経節細胞がありそうな場所をヒートマップで示す。写真認識用に学習済みのモデル(ResNet-50)を病理画像向けに学習し直す「転移学習」。3施設で精度90〜93%、病理医10名の正答率は77%→85.8%、診断時間は半分に。
手法の要点:小片ごとの「あり/なし」二値分類 + 根拠の場所を示すヒートマップ(Grad-CAM)。
あびこさんの研究に最も近い1本(術中・凍結切片)。コードが公開されており、同じ仕組みを Colab で小さく再現できます。
同じデータで U-Net(塗り分け)と YOLO26(枠で検出)を比較。感度はほぼ同じ(82.9% vs 79.1%)、YOLO の方が偽陽性が少なく34%速い。データは患者単位で分けている。
手法の要点:検出と塗り分けの2方式を、同じ物差しで比べる。どちらも学習済みモデルからの転移学習。
使っているライブラリ(Ultralytics)は Colab で最も普通に動くもの。2方式の比較そのものを、小さなデータで再現できます。
切除標本の画像から神経節細胞・神経・肥厚神経の領域を塗り分ける。精度92%。ただし指標は「精度(accuracy)」だけで、患者単位でデータを分けたかは書かれていない。
手法の要点:画像を小片に切って U-Net で塗り分け、あとで貼り合わせる。
U-Net は Colab で数分で学習できます。「精度92%は、何の指標で、どのデータで?」を自分で確かめる題材にもなります。
自施設で作ったAIを、他の3施設と別の2機種のスキャナに持ち込んで壊れ方を調べた。施設が変わると偽陰性が増え(誤り率3.9%→最大10.8%)、スキャナが変わると色がずれる(3DHISTECH で 9.8%)。
手法の要点:モデルそのものより「条件が変わったときの評価」が主題。
「条件が変わると落ちる」は Colab で簡単に再現できます(色味や撮影条件を変えた画像で測り直す)。依頼仕様書の「何施設・どのスキャナ」項目の根拠。
神経節細胞を数えるのではなく、AChE染色で神経線維の増え方から判定する。病理画像ソフト QuPath に入っている「学習」機能(ランダムフォレスト)で、患者単位の交差検証で AUC 0.96(直腸限定で 0.99)。
手法の要点:深層学習ではない古典的な機械学習。ピクセルの色・質感から「陽性領域」を塗り、その面積比で判定。
ランダムフォレストの部分は Colab で1分で再現できます。QuPath 本体は無料のデスクトップソフトなので、Colab の外で AI に操作を教わりながら触れます。
HE染色の永久標本から神経節細胞の候補を見つけ、確からしい順に病理医へ提示する。細胞単位で感度96%・特異度99%、50症例で見逃しゼロ、読影時間を95%以上短縮。
手法の要点:病理医の見方(組織の層で絞る→周囲との関係で判定)を模した独自設計。中身は非公開。
中身が非公開なので手法そのものは再現できませんが、「候補を出して、人が最終判断」という設計は、Colab で作った検出モデルの出力に閾値を付ければ同じ形になります。第1回のチェッカーと同じ発想。
病理医の手順どおり「筋層→神経叢→神経節細胞」と3段階で絞り込む。各段階に Vision Transformer を転移学習。筋層 Dice 89.9%、神経節細胞は適合率62〜67%・再現率79〜89%。単一施設。
手法の要点:大きな構造から小さな構造へ、段階ごとに別モデル。Transformer は第2回で見た LLM と同じ部品。
3段階を全部回すのは Colab の無料枠では重いので、1段階だけ(Vision Transformer の転移学習)を体験して雰囲気をつかみます。「手順を段階に分けて書く」は依頼仕様書の書き方そのもの。
上のAIを使う非専門医5名に10分の説明をしたところ、正答が増え、専門医への紹介率が44.8%→29.6%に減った。ただし偽陽性はわずかに増えた。
手法の要点:AIではなく「AIを使う人」を評価する読影者実験。
学習は不要。自分で作った判定アプリを使って、AIあり/なしで自分や同僚の正答率と時間を測ると、同じ形の実験を体験できます(次の次の節)。
免疫染色した神経節細胞を人が目視で数え、5mmごとに地図化。吻合部で Meissner 約94個/cm・Auerbach 約110個/cm。腸間膜側と対側で分布が違う。
手法の要点:AIなし。人が数える=AIにとっての「正解」を作る作業そのもの。
ラベル付けの体験がこれに当たります。エージェントに作らせた「画像に点を打つページ」で自分で数え、「何個/cmなら十分」という合格基準の元ネタとして依頼仕様書に持ち込みます。
9本の手法を、Colab で回せる「体験パッケージ」5つにまとめました。どれも公開・匿名の練習用データを使い、学習は1回5分以内に収まる規模にします。ノートブックはすべてエージェントが書きます。
学習そのものではなく、その前後にある作業です。ここはエージェントに道具を作らせたり、LLM に読ませたりする「AI活用」の出番で、環境は普通のブラウザとパソコンだけで済みます。
回ごとの順番はまだ決めていません。まず「何を・どこで体験するか」を合意し、その後に順番と回数を組みます。
| 論文に出てくること | Colab で回す | Colab の外で AI と |
|---|---|---|
| 「正解」を人が囲む・数える 福永 / Greenberg 2021 / Wang | — | BEYOND 1:ラベル付けページで自分で数える |
| 転移学習+ヒートマップ Demir / Megahed | PACKAGE A | — |
| 検出(YOLO)と塗り分け(U-Net) Wang / Duci | PACKAGE B | BEYOND 4:LLM 方式と比べる |
| 患者単位の分割・条件が変わると落ちる Wang / Greenberg 2024 / Duci | PACKAGE C | BEYOND 5:論文から分け方を抜き出す |
| 深層学習でない学習・QuPath Braun / Wang | PACKAGE D | BEYOND 3:QuPath を触る |
| 候補提示→人が判断・読影者実験 Greenberg 2021・2023 / Demir | PACKAGE E | BEYOND 2:AIあり/なしで測る |
| 症例数・施設・スキャナ・誰がラベルを 全論文 | — | BEYOND 6:質問リスト → 依頼仕様書 |
自分でラベルを付ける。迷う画像が出ること、1枚にかかる時間を体で知る。
学習に使った画像では評価しない。訓練用と評価用(できれば患者単位)を分ける。
「おもちゃが簡単だった理由」を書き出す。そのまま専門家への確認項目表になる。
最後に依頼仕様書を書く。動くものはあくまで手段で、これがゴール。
Discord で一言ください。「この Package/Beyond はやってみたい」「ここが分からない」など、どんな粒度でも大丈夫です。それをもとに、回ごとの順番を一緒に組みます。